前日16日の競馬開催決定の発表から急転、国内では36年ぶりの馬インフルエンザによる中止決定。JRA所属馬の間で広がり続ける馬インフルエンザ感染は、競馬再開の見通しすら立たない最悪の事態となった。
美浦、栗東の東西トレセンで20頭の陽性が発覚した16日の説明会では「感染する程度。開催に甚大な影響はない」(斎藤茂広報担当理事)と楽観視していた。しかし、16日夕方から17日早朝まで、今週の札幌、新潟、小倉競馬の出走予定馬969頭中、163頭を検査した結果、29頭(うち1頭が発熱)の感染が判明。JRAでは17日午前8時から急きょ、開催会議を招集。「感染拡大を防止するという観点から、今週の中央競馬の開催を取りやめることにした」と発表した。
JRAによると11日頃に最初の発症があったとみられる馬インフルエンザは、症状が表れないうちに感染が拡大。佐藤浩二常務理事は「きのう(16日)からの検査で、一見健康で異常を呈していない馬でも、かなりのキャリアがあった」と言葉を震わせた。
急速に広がる感染に、JRA側も対処しきれないのが現状だ。「時間的な制約で(今週の全出走予定馬中)わずか16・8%(163頭)しか検査できなかった」(仁岸正之馬事部長)と苦しい胸の内を明かし、斎藤理事は「獣医が1万人いれば全頭検査も可能だが…」と語った。
美浦、栗東トレセンはもちろん、各競馬場の馬房の数は限られており、「完全な隔離は無理。発熱した馬は(厩舎棟の)右、健康な馬は左の方に入れるなどしている」(仁岸馬事部長)という。感染源も17日現在、特定されていない。
次週25、26日の特別登録(予備登録)は行うものの、今後については全く見通しが立っていない。前回大流行した71年には、約2カ月間もの開催中止を余儀なくされた経緯がある。ワクチン接種を徹底しながら、感染が広がった理由について、JRAでは記録的な猛暑による体力低下も一因とみている。このため佐藤理事は「一連の事態をまず鎮静するのが大事。順番に1つ1つ検査すれば、ある程度の時間は擁する」と、長期化も避けられない見通しを明かした。
今後の展望どころか、原因すら分からない今回の馬インフルエンザ伝染。ニュージーランドから輸入された5頭の感染馬から発生した71年同様、約2カ月間の長期中止となれば、9月8日に始まる秋競馬はもちろん、同30日にスプリンターズS(中山)で開幕する秋のGIシリーズにも直接的な影響は避けられない。JRAは中止となった開催の代替スケジュールはもちろん、G1ローテーションの修正にも着手できない状態。中央競馬が最大の危機に直面した。
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